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オラディアの行ってはいけない場所:惡い魔法使い邸 - 2014.09.01 Mon

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―――サオカオフラントス南東に広がる静かな丘陵の往くと、
一軒の古びた館が大木の陰にひつそりと身を寄せ佇んでゐた。

今や足場の至る處は崩れ落ち、住む者の気配も絶えたその館は、
古くは自らのヘソで茶を沸かす方法を研究していた魔法使いの根城であると噂されてゐる。

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怪しげな噂は未だ纏綿とし、二本首の巨大な黒龍が棲み付いてゐる、
館の中を緑色の肌をした小人が徘徊してゐるのを目撃した等と怖れられては、
敢へてこの館に近附かうとする者は多くない。

手入れをする者の無くなつた館は所々崩れ落ち、土台まで半ば剥き出しに、
しかしその崩れた部分から差し込んだ光りを受け、地下では植物達が昔の主に取つて代わらんと勢力を延ばして居た。

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隣接する巨木の木漏れ日や、階段の隙間を差して通る格子模様等、
地下庭園は日の傾きに因り樣樣な角度から光りが差し込んでは萬華鏡の如くその表情を変え私を楽しませる。
斯うして眺めていると、過去にその様なおぞましい研究の行はれてゐた場所とは俄かに信じる事は出來ない。

しかし、日の当らぬ隅では薄暗い環境と湿気を好んでか…若しくは魔法使ひの怪しげな研究の産物だらうか、
巨大なキノコが突如唸り声を上げては身を捩り、その存在を主張して居た。

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これぞ噂に名高いマンドラゴラであらうか。
毒々し気な赤い傘を搖らし、訪う者無き館の靜寂を乱す不屆きな存在である。
地下に埋まつてゐてさえ聞こえてくる呻き声は、研究の犠牲と成つた者達の怒りと無念の声を思はせる。

この茸とは別に、館の靜寂に色を添へるものがある。

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天井から流れ、館を囲う様にグルリと流れる水の音である。
魔法使いの爲せる業か、天井に水が張り詰められ、其処から外壁沿いに水が移動する仕組みになつてゐた。
ヘソで茶を沸かす為に多くの水を必要としたのであらう。
悪用されたその水も今では植物たちの生育の助けと成り、天井と地下の双方に花が咲き乱れる。

斯うした地下の造りとは裏腹に、居住部分は昼でも暗く陰鬱な空気が滿ちてゐた。

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僅かに殘された壁の絵画は最早何が描かれてゐたのか判別出來ず、
窓際の椅子も本來の色は褪せ、重く積もった埃が僅かに差す月の光に銀色に輝くばかりである。

二階に上がると更に調度が少なく、邪惡な研究に使はれた道具も、その研究資料も見出す事は叶はない。
只々魔法使いの邪惡な念だけが、ガランとした家の影に住み付いては、
こちらを見詰めてゐるかの樣な嫌な気分にさせた。

身の危険を感じた私は部屋の隅に小さな金庫を見附けると、
とりあず10万ゴールドを収め、静かにその場を後にした。

もし今までにこの館へ足を踏み入れたり、近くを通り掛かつた、サオカオフラントスへ新しく土地を買つてしまつた、
そんなオーセラ人の貴方は邪惡な念によって身に危険が迫つてゐると考るべきである。
金庫の場所は2階の他、一階の階段の下にも在り、態々怖い思いをして奥まで行く必要は無い。

呪いに怯えて過ごしたく無ければ、ここは欲を捨て、一口10万ゴールドから納める必要があるだらう。


世界を股にかけるウェントアイ著
撮影協力 ゴブリン宣伝部
『スカイコロニーの歩き方 サオカオフラントス編』より

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お菓子の食べ過ぎその他諸諸、
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